
以前、スクワットのスタンス幅が筋活動に与える影響①という記事を書きましたが、今回はそれの第二弾です。似たようなテーマで別の研究があるので紹介します。
論文タイトル
「バックスクワットで異なるバーベルの負荷をかけた際に、スタンス幅が大腿部の8つの筋肉の筋活動に及ぼす影響」
実験内容
目的
3種類の負荷および3種類のスタンスでバックスクワットを行った際の8つの筋肉の筋活動を測定し、スタンスにを変えることで特定の脚の筋肉へ刺激を与えることが可能かどうか確かめる。
被験者
少なくとも3年間のトレーニング経験がある6人の若い男性。
測定
0%1RM、30%1RM、70%1RMの3種類の負荷で、それぞれ3種類のスタンス(肩幅・肩幅の150%・肩幅の200%)のバックスクワットを行わせ、大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群など、8種類の筋肉のEMG(筋電図)測定を行った。負荷にはが用いられた。
結果
- スタンスの違いによる筋活動の変化は大臀筋にのみ観察された。
- 大臀筋の筋活動は肩幅の200%のスタンス幅のとき最大になった。

図1:大臀筋の筋活動の比較
※図中の「GT distance」は「肩幅」の意。
まとめ
スクワットはスタンス幅が広い方が大臀筋の活動が大きくなる。
考察(管理人の私見)
今回の研究でも、「スタンスがワイドになるほど大臀筋の活動が大きくなる」という結果が出ています。結果のところにグラフで示した通り、大臀筋の活動レベルが負荷とスタンス幅に明確に比例しているのが見て取れます。

※再掲(図1:大臀筋の筋活動の比較)
しかし、以前紹介した論文の結果と異なるのは、内転筋の活動に違いが見られなかったことです。しかも今回の研究では、肩幅の2倍というより広いスタンスで実験が行われているにも関わらずです。
以前紹介した論文では、60%1RMのときには内転筋の活動にスタンスによる違いは見られず、70%1RMのときにのみ違いが見られたことから、強度がある程度大きくならないと、スタンス幅を広げても内転筋の活動に影響しない可能性はあります。
もしかしたら今回の研究でも用いられた70%1RMという強度は、内転筋の活動に影響を与えるちょうどボーダー付近の強度なのかもしれません。
どちらにせよ、スクワットのスタンス幅が大臀筋の活動レベルに影響を与えるのは間違いないようです。