低負荷高回数でも筋肥大は起こる

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筋肥大を目的とする場合、一般に67%1RM(15RM)以上の負荷が用いられます。そのせいか、これより軽い負荷では筋持久力が鍛えられるだけでほとんど筋肥大しないと思っている人は多いです。

しかし、実際にはもっと広い負荷範囲で筋肥大が起こることが確認されています。

今回は30%1RMというかなり低負荷のトレーニングでも筋肥大が起こったことを示す論文を紹介します。

論文タイトル

「レジスタンスエクササイズの負荷は、若い男性の筋肥大の効果を決める要因にはならない」

Resistance exercise load does not determine training-mediated hypertrophic gains in young men. J Appl Physiol (1985). 2012 Jul 1; 113(1): 71–77.

実験内容

目的

トレーニングの負荷の違いがトレーニング後のタンパク質合成に与える影響について調べる。

被験者

トレーニング経験のない18人の健康な若い男性。

トレーニング

被験者を次の3つのグループに分け、週3回のトレーニングを10週間行った。トレーニングではレッグエクステンションを毎セット限界回数まで行わせた。

  1. 30%1RMで3セット
  2. 80%1RMで1セット
  3. 80%1RMで3セット

測定

  • 大腿四頭筋の筋量
  • レグエクステンションの1RM

結果

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図1 大腿四頭筋の筋量の変化。

 

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図2 レッグエクステンションの1RMの伸び。

 

 

 

 

  • 3グループとも大腿四頭筋において同程度の筋肥大が見られた。
  • 30%1RMを3セット行ったグループでやや遅筋の成長幅が大きかった。(統計的に有意な差ではない)
  • レッグエクステンションの1RMは全てのグループで増加した。増加幅は80%1RMのグループが、30%1RMのグループより大きかった。
  • トレーニング1時間後のp70S6Kのリン酸化は80%1RMのグループでのみ大幅に増加した。

結論

30%1RMのトレーニングでも毎セット限界まで追い込めば筋肥大は起こる。ただし、80%1RMのトレーニングと同じだけ筋肥大させるためには、より多くのボリュームが必要になる。

考察(管理人の私見)

この研究では、「限界まで動作を行わせた場合、30%1RMでも80%1RMの場合と同程度に筋肥大する」という結果が出ています。これは怪我やトレーニング環境の問題で高重量を扱えない人にとっては朗報といえるでしょう。

ところで、以前このブログでトレーニングの効果はボリュームに比例すると述べましたが、今回の2つの負荷設定のときのボリュームはどうなっているでしょうか?

ちなみに30%1RMというと、普通30回以上は反復できる重さです。仮に30%1RM = 30RM、80%1RM = 8RMとしてボリュームをざっくり計算してみましょう。

例:ベンチプレスの1RMが100kgと仮定

  • 30%1RMの場合:30kg × 30回 × 3セット = 2700kg
  • 80%1RMの場合:80kg × 8回 × 3セット = 1920kg

上記の例で比べてみると、なんと今回の研究では30%1RMの場合は80%1RMの場合の少なくとも1.5倍程度のボリュームをこなしたことになります。つまり、「同じだけ筋肥大させるためには、低強度の方がより多くのボリュームが必要になる」といえます。

以上の事実をまとめると、「筋肥大の効果はトレーニングのボリュームに比例する。ただし、低強度になればなるほど、より多くのボリュームが必要となる。」ということになります。

この事実だけみると、「低負荷高回数のトレーニング中心でもいいじゃん。」となりそうですが、実際にはこのようなトレーニングはあまり推奨できません。その理由は大きく分けて2つあります。

一つ目の理由は、筋力があまり向上しないからです。筋力が上がれば扱える重量が上がり、結果的にボリュームを増やしやすくなります。、筋肥大を目的にトレーニングをする場合であっても、結局は筋力の向上に優れた中~高強度でトレーニングを行う方が長期的には良い結果を生むと考えられます。

二つ目の理由は、低負荷高回数で限界まで追い込むのには強い精神力が必要になるからです。1セットあたりにかかる時間は3倍程度になり、セットの後半に疲労物質の蓄積により耐え難い苦痛に襲われることになります。スクワット30レップや、デッドリフト40レップなんて想像するだけでも地獄でしょう。

筋肥大を目的にトレーニングするなら、やはりスタンダードに6~12RM程度の負荷を中心にトレーニングを行うのが良いでしょう。

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